ⓔコラム10-1-4 逐次近似再構成法 (IR)

 フィルタ補正逆投影法 (FBP) は,投影データからもとの被写体構造へ逆変換する理論に基づいた再構成法であり,非常に簡便に使用できることからCTの画像再構成法として主流となっている.しかしながら,CTに伴う被曝量の増加が懸念されるようになり,簡単にCT検査がなされる時代だからこそ,被曝低減のことも忘れてはいけない.本来,画質と被曝線量はトレードオフの関係にあり,線量を下げすぎると診断可能な画質を担保できなくなってしまう問題がある.IRは,この問題点を解決するノイズ低減処理法である.IR法とは,代数的再構成法や統計的再構成法を用いて,最初に仮定した答えと実際の答えが極力近くなるように修正を繰り返し,統計モデルも考慮して確率的に最適解を取得する方法である.画像再構成の計算過程で,統計的に画像のノイズ成分のみを選択的に抽出・除去することで,高い空間分解能を保持したまま画像再構成を可能にする.

 一方,第三次人工知能ブームの時代となり,医療分野においても人工知能が取り入れられつつある.特に,畳み込みニューラルネットワーク (CNN) を用いて画質改善のために開発された技術が,人工知能を用いた画像再構成法 (DLR) である.X線線量を低減した画像を入力した際に,まるでIRを用いたようなノイズを低減した高画質画像を出力できるようになっている.

〔梁川雅弘〕